それは、19歳の夏でした・・・ 街角の自販機にコインをいれて求めました。

それを口にすると、全身がスーッと浮かび上がり体が軽くなりました。イラつきのハイテンションがローな気持ちになり安らぎを与えてくれました。もう、離れられない、離したくない・・・

それから、10年後の春、一日60本になっていました。60/日 人は眠りますから、どんなに好きな人でも 眠っている時は口にできません、単純に計算すると15分に1本です。ここまでくると、離れる・別れるのレベルではありません。「完全依存」です。衣服はもちろん体の節々まで、においが染みつきます。朝、寝起きの1本から始まります。ベッドでの1本がないと起き上がれない、寝床から出られない。食事に関しても食前・食事中・食後の1本。入浴に関しては笑ってしまいます。入浴中に我慢できずに、体半分脱衣場に出して・・1

29歳の時「完全依存」からの脱却を決意しました。いつも肌身離さず、どこでも手放さなかった全てを破棄しました。それから、わずか1分で全身に震えが襲いました。3分、5分。10分・・いわれのない恐怖に包まれます。その日は終日自宅にこもって孤独と絶望に耐えました。1ヶ月が経ち、ようやく社会復帰できました。自動車も安全に運転できます。でも高速道路や二輪車は控えました。3ヶ月頃 夢の中に出てきて目を覚ましました。10ヶ月でようやく脱却の文字が薄っすら見えてきます。1年経過すると、やっと達成感、充実感を得ることができます。なりよりも自分は決意した事が出来るんだという「自信」をつかんだのが大きかったです。その自信を力に、それから暫くして、浴びるような飲酒もピタリと止めました。

でも、このような「依存からの脱却」は数ヶ月間 激しい禁断症状が襲いますので、10年に1度 有か無いかでないと精神的にかなりキツイです。下手をすると心の柱を折ってしまいます。警告、要注意です。でも、一日60本、どうしてポッキーは?そんなに美味しいのでしょうか。