ファイル バインダー
 古文書でも抱えるようにして、白髪の初老の男性が事務所に来られました。30年以上前の不動産の売買契約書を取り出されました。テーブルに広げられた契約書の日付は昭和50年代でした。私が学生というより子供の頃と表現した方がよい年代です。当時、弊社の仲介で土地建物を購入されていました。いまは懐かし、B4サイズ、B5サイズの契約書です。それに記入欄はすべて手書きでした。初老の男性は前面道路の工事にともなう境界の確認と権利関係の相談でした。私は契約書の他に図面も拝見し後々何事も無いように几帳面で丁寧な仕事に驚きました。男性も私の説明で(1時間以上かかりましたが)納得され安心されたようです。それに30年以上もたっても、ちゃんとお世話してもらった不動産会社があり、気軽に立ち寄れる事が良かった様でした。自分自身、当時パソコンやプリンターの無い時代に、良くもまあそこまで丁寧に書類を作っていたと弊社の事なのに感心してしまいました。初老の男性が帰られた後、ファイル棚を見てみました。不動産契約書(複写)の保存義務は5年、会社法の適用では10年となっています。ファイルをさかのぼってその当時の年代のバインダーを見つけました。開いてみるとその男性に仲介した物件の副本が保存されていました。さらに一目でわかる様に物件ごとに丁寧にラベルが貼ってあり一目瞭然に探し出す事が出来ました。きっと仕事に気持ちと真心がこもっていたんだと つくづく感じた梅雨の晴れ間の午後でした。