玄関ドア 現在 800万戸を超える「空き家」が全国に存在します。
さらに、10年以内に「空き家」となってしまう物が、200万戸から300万戸。ここでいう「空き家」とはただ単に人が住んでいない家とか留守の家ではなく、その家が現在・未来にわたって誰も住まないであろうといわれる家です。つまり後に廃家になってしまう物です。住宅団地で「空き家」・廃家が進むと廃墟になってしまいます。とても恐ろしいことです。
 三原市も中心部(一般の方でも徒歩での生活が可能な範囲)から直線距離で5キロ以上(車での移動が必然で徒歩のみでは生活が困難になってしまう範囲)では築年数に関係なく進んでいます。
 売却の依頼を受けたのは今年の夏がはじまる頃でした。
昭和40年代に造成された住宅団地にある築40以上の物件でした。依頼者は県外にお住みの息子さんで売却物件は亡き父親のご自宅、息子さん旧財閥系の会社にご勤務で海外出張も多く、売却に関して弊社に【代理に限りなく近い】委任をされました。
 本物件を調べていくうちに、薬は買わない飲まない頼らない私が生まれて初めて、早く効いて胃にやさしいバファリンという薬を飲みました。さらにコルゲンコーワIB錠TXという薬も飲みました。
 本物件から幹線道路の県道、生活道路の三原市道まで個人所有の道、私道の通行が必要です。それも3人の方の私道、つまり他人さんの土地を3回通らなければ本物件まで行けないということです。当然帰りも同じです。さらに隣地の境界を確認しようにも お隣も空き家の状態で、さらに本物件から先に埋設されている水道本管は三原市の水道ではなく個人さんの私設の水道になっていました。そして生活排水を放流する側溝も他人さまの所有になっていました。
 私はこれらの一般の方からは決っして目に見えない部分を一つ一つクリアしていかなくてななりません。つまり書面に承諾・同意の署名捺印を頂かなくてはなりません。これは一般に売買契約より困難な場合もあります。どちらかといえばそれ以上のことが多いのが実情でしょうか。
 いい業者か悪い業者か知りませんが開発業者の中には、住宅団地の入口の道をわざわざ自分名義のままに残して団地内の物件に売買があった時、通称:印つき料というものを請求される業者がいらっしゃいます。そういう業者はお金を支払えば署名捺印をしていただけるのですが、個人さんの場合は過去の行き察や禍根があったりして金銭とかの問題ではなく裁判官でもお手上げの場合もあります。また排水に関しては流すものは綺麗なものではないので、好まれるものではありません。
門塀 まず、お隣の空き家との隣地境界確認ですが、詳しくは言えませんが所有者の方が関西方面 神戸の辺りでしょうか灘区にお住まいでした。元のお勤め先が戦前は戦艦武蔵を作った会社で、今はロケットや原子炉まで作っている会社で、三原にある工場の今の所長さんとお呼びするのでしょうか社長さんでしょうか その方がかつての部下だったというお偉いさんで、日曜日にわざわざご夫婦でご来三いだだきました。
 現地に何度も行っているうちに少しづつ感じるのは、この住宅団地が赤ちゃん 子ども 中高校生 青年層 子育て世代 熟年層 高齢者とおおむね三世代が同居する住宅地なのです。近年立て替えのお宅もお見受けます。詳しくは言えない神戸市灘区から3ナンバーの三菱自動車でお越しいただいた恰幅のある愛妻家のご主人(奥様との会話が敬語)との境界ですが、本物件 私道に面した方角は6段のブロック積ですが、お隣との境界は植え込みがあるだけでその隙間から自由に行き来できるのです。お越しいただいたご主人、土地家屋調査士の先生の立ち合いのもとの境界の確認、越境している樹木を伐採して頂き、ブロックへ切り込みを入れるための電動カッターの電源まで快く使わさせていただき、境界が確定すると、「それでは息子さんによろしくお伝えください」と言われ颯爽(さっそう)とお帰りになりました。
 私が思うに売主さんの亡きお父様とお隣さんとは、よほど良好なお付き合いだったんだなと感じるのです。お隣さんとの境界が自由に行き来できるのも、お互いに出来立ての料理を冷めないうちに届けあっていた温ったかい仲だったんだと思いました。
 私道の通行承諾書と生活排水放流の同意の件ですが、お三人のお宅へ アポなしコネなし手土産なしで訪問しましても、お三人様とも気持ちよく署名捺印していただき感謝感激でした。なかにはそこのご主人さん 奥さんに「〇〇さんの家が売れるそうな うちがハンコ押さんと売れんかったらたいへんじゃ 早よ印鑑もってこいや」と玄関で即いただきました。ありがとうごさいました。また、所有者名義の方がご不在のお宅では私の再訪問を気遣われ、ご家族の方が書面を預かって、所有者名義の方の勤務先が同じ城町でしたので仕事場に署名捺印をされてた承諾書を持参されておられました。
 売主さんの亡きお父様はよほど人望のあった方、お人柄も満点で、すごい紳士だったんだと思わずにいられません。
 
 買主さんは大手飲料製造メーカーにお勤めの子育て世代のご夫婦で築40年以上のこの建物を取り壊されるのではなく リノベーションされるようです。
 
 このごろ満月のお月様を見上げると 売主さんの亡きお父様が「よかった」とニッコリ微笑(ほほえ)まれる様に感じる秋の夜長です。