奈良にある法隆寺が建立されたのがおよそ千四百年も前になります。五重塔や夢殿がよくしらていますが、西の伽藍(がらん)だけは唯一火災をまぬがれ建立当時のままで、世界最古の木造建築になっています。
 その美しさから白鷺城といわれている姫路城、築城されて七百年ちかく前の当時の姿で現存しています。太平洋戦争の時、天守閣に爆弾が直撃しましたが幸い不発弾だったエピソードがあります。
 築五十年前後の一戸建て住宅はほとんど木造瓦葺きの造りになっています。土地・建物の売却を依頼された時、建物は解体し土地のみの更地渡しになる場合と、買主が建物をリフォームする場合の二通りになります。
青空 三原の駅前から郊外へ15km以上の所にあるの築50年ちかくの一戸建て住宅。関西方面にお住いの所有者から依頼を受けたときは、所有者の子供時代をたっぷりとすごした思い出の家を、「解体更地で処分」の決断をされていたようでしたが、それが苦渋の決断と痛いほど感じていた弊社としては現状のままで買い手さんを探してみましょうとすすめました。
 今年の冬から春にかけては天候の予想がつかない荒れた日が随分続いたと思います。しかしこの物件に行く日はなぜか青い絵の具で空を書いたような不思議と晴天になるのです。この天気は、お客さんを案内するには大変ありがたい天の恵みになります。晴天は建物の見栄えが一段と良くなるからです。当初から価格をぐっと抑えていたこともあり、二組目のお客さんに買っていただくことになり、さらに、築50年ちかくの建物はリフォームして住みつづけたいとのことで、これには所有者の方も大喜びで、私も物件案内の前に門から玄関周りの水洗い、建物の前のみぞ掃除、全ての雨戸、窓を開けての空気の入れ替えなどなど・・・ 建物が残ってよかったです。お札
 
 引渡しが無事に済んで・・・・しばらくたって・・・・・買主さんが・・・・弊社にお札(ふだ)を持参されました。リフォーム中に見つけられたそうで・・・ 私:『この家を50年ちかく守ってくださったこの家の守護神です。見つけられた元の位置に戻されることをおすすめします。』  買主さんには残念ながら理解していただくことはできませんでした。不動産業者として神様の押し付けはできません。
 お札の包みを開いてみますと愛媛県の有名な神社のお札でした。直筆の手紙で、返納の事情とお焚き上げのお願い、物件の所在地、そして気持ちの金額を同封して社務所あてに送りました。
 投函した後、手紙にはこの物件がこれからも災難に遭わずにとお願いしましたが、ここに住まれている方の無病息災を祈願するのを忘れていました。